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泥酔してしまった男のひとつの末路 [小説のようなもの]

 皆さんはお酒を飲まれますか?
 お酒を飲まれれる方だと、「飲み過ぎて怖い思いをした。」なんて方も少なくはないと思いま。
 この物語は、ある、泥酔してしまった男が経験する、長く短い物語です。

☆☆☆

気がつくとそこは草原だった。



昨夜は同僚と二人で遅くまで飲んでいたはずだ。
帰った記憶はない。最後の記憶は二件目の飲み屋。微かに同僚と語り合う様子が頭に浮かぶ。
薄暗い店内。バーカウンターに並んで仕事について熱く語り合っていたと思う。
同僚の熱意のこもった言葉がかろうじて残っている記憶の中で響く。
二人、大分酔っていたのは確かだ。

周りを見渡す。
景色は変わらず、水平線上にひたすらに続く平坦な草原。東西南北さえ分からない。
気づいてしまった。
太陽がない。
明るさは昼の明るさで空も青い。僅かな雲もある。なのに太陽が全く見当たらない。
背の低い全体的に高さの揃った草はただひたすらに揺れていた。波紋のように、風によって草の紋がいくつも幾重にも連なり、ただひたすらに揺れていた。
まるで、本当に風が吹いてるかのように。

私は、走りだした。ただひたすらに、ただがむしゃらに。だが、走れば走るほど不安は増した。
変わらないのだ。なにも。
道はおろか草原の切れ目さえ見えない。土さえ見えないのだ。膝を突き、草を分けてみた。土がない。地面がない。何もない。あるのは闇だけだ。
闇の上に草原がある。闇をつかみとろうとしたが何もつかめなかった。比喩ではなく、本当にそこには何もないのだ。

私は再び走りだした。
いつかは、変わるであろう景色を信じて。
目には涙が溢れてきた。
喉の奥が詰まるような感じがする。
感情が爆発して私は号泣した。
号泣しながらこの不安に満ちた草原世界からの脱出を試みた。



あれからどれくらい走ったのだろう。
不思議なことに、全く疲れない。息も上がらない。時間の感覚もなくなってしまった。5年間程、走り続けているのではないかと思った。それくらい長い間、ただずっと走り続けている。
涙は枯れてしまった。感情もなくなってしまったように思える。ただ無心で、機械のように走り続けている。
しかし、景色は何も変わらない。空は明るく、地面は闇で、中身の無い風が吹いている。
そこで、ふと気づいた。立ち止まり思案する。
これは夢ではないのかと。なぜ、今まで気が付かなかったのか。なるほど、夢ならば覚めれば良いのだ。その場に寝そべり、目を閉じる。
しかし私は、すぐに絶望した。
目を閉じても目を開いても景色が変わらないのだ。
思わずまぶたを指でつまむがたしかに感触はある。影もある。だが目を閉じても開いても脳に送られる景色は同じなのだ。
恐る恐る手のひらで目を覆ってみた。しかし景色は同じように変わらない。
絶叫した。ただひたすらに絶叫した。絶叫し続ければいつかここから抜け出せるのではないかと、私は絶叫し続けた。
機械のように。

☆☆☆

絶叫



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鼻息 [小説のようなもの]

部屋の外で車の音がした。
どうやら来たようだ。
慌ててPCの終了オプションを開き、再起動にカーソルを合わせる。
クリックと同時にインターホンが鳴った。
部屋はTVホンであったが、俺はモニターを無視して真っ直ぐにドアへ向かった。 そうして迷いなくドアを開けた。
知らない男だ。
そいつは図々しく、部屋に入っていいかと俺に尋ねた。
俺は承諾し、部屋の奥に案内する。
部屋の奥に来るとそいつはおもむろに座りこんで俺に次から次へと質問を浴びせかける。
正直に言えば鬱陶しい。
ふくよかな人特有の鼻息の音も耳に衝いて不快だ。
一通り質問が終わると今度は作業を始めた。無言で。すぐに重苦しい空気が漂いはじめる。
俺はその光景を負けじと無言で眺める。
時折、窓の外に目を向けて気を紛らわせた。

どれくらい時間が経ったのだろう。
永遠に続くのではないかと思えたその時間は、時計を見れば10分も経っていなかった。
男は急に立ち上がり、体をこちらに向けて話し始める。
どうやら、作業が終ったのでサインをしてくれと要求されているようだ。
俺は、何を!サインなどくれてやるものか!と、内心思うのだが、そのような顔は露ほども見せず快くサインをくれてやった。
その後、二三の注意事項を説明し終えると、男は玄関へ向かった。
玄関先で礼を言うと男はドアの外に出た。
俺は気がつくともう二度と来るな!と怒鳴りつけていたかもしれない心境であったが、グッと堪え、かろうじて人並みの礼の言葉を放ち、男を追い返した。

俺はドアの鍵を閉めると、再びPCの画面に向かった。



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